大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

最高裁判所第三小法廷 昭和32(オ)886 判決

主 文

本件上告を棄却する。

上告費用は上告人等の負担とする。

理 由

上告人等の上告理由について。

論旨は、原判決には、当事者の主張しない事実を認定した違法があると主張する。

しかし、本件解約申入の正当事由について原審の認定した事実の骨子は、すべて被

上告人主張の範囲に属する。原審認定の事実にして、当事者の主張と符合しないか

の如く解せられるものも、仔細に検討すれば、当事者主張の事実に結合する事情を

併せて認定したに過ぎないのであつて、結局その根本は、当事者主張の範囲より逸

脱したとはいえない。

また論旨は、本件解約申入の事由には、本件建物が荒廃し、改造の必要のあるこ

とのみでは足らないのであつて、荒廃の程度、改造の程度内容、その資金獲得方法

をも明らかにしなければ十分でないと主張する。しかし、被上告会社は、本件建物

を使用して劇場を経営する計画であり、それが荒廃せるため改造の必要ある旨主張

するのであつて、劇場経営を基準とすれば、そのためなすべき相当の処置を解約申

入の事由とするものであること明らかである。所論の如く、荒廃及び改造の程度内

容、改造資金獲得方法等の微細に亘る事項までも主張する必要を認めない。従つて

被上告会社の主張に欠くる所があるとはいえない。

次に論旨は、原判決には、証拠に基かないで事実を認定した違法があると主張す

る。しかし、上告人が所論被上告会社の株主総会の決議を異議なく承認したとの事

実は、原審の認定しない所であるのみならず、原審挙示の証拠による原審の事実認

定は、首肯し得られるから、右主張は当らない。

而して、原審認定の事実を綜合すれば、本件解約申入に正当事由があるとした原

- 1 -

審の判断は是認し得られる。

これと見解を異にする論旨は、すべて理由がない。

よつて、民訴四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員の一致で、主文のと

おり判決する。

最高裁判所第三小法廷

裁判長裁判官 石 坂 修 一

裁判官 島 保

裁判官 河 村 又 介

裁判官 垂 水 克 己

裁判官 高 橋 潔

- 2 -

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!